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コラム 「日本の常識、タイの常識」
消えた私の預金



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これは、つい最近(2003年6月)のことです。

さて、いつものように、午後のコーヒータイムを休憩室でとっていると、同じ職場の女の子が休憩に来て、いつもの雑談が始まりました。

「ピー(タイではお兄さんという意味です)
今日、銀行が休みなので、ATMを使って送金しようとしたら、間違えて振込先を指定しないまま、手続きをしてしまいました。そしたら、振込先も指定していないのに預金だけが、引き落とされて、残高が減ってしまいました。
どうしましょう。」

「え?」

この話しを聞いた瞬間、私がタイ語を聞き間違えたのかなと思いました。しかし、彼女と他の人の会話を聞いていると、確かに彼女はATMの操作を間違えて、預金が減ってしまったみたいです。

彼女は、今日は銀行が休みなので、わざわざATMを使って送金しようとしました。しかし、手続きの途中で、振込先を指定するのを忘れてしまいました。そのとき、なぜかエラーにならず、そのまま手続きが完了してしまったのです。そして、振込先の指定されていないスリップがATMから出てきました。おかしいと思った彼女が、通帳記入をしてみたら、見事に、

振込先のない送金の金額分が、預金から引き落とされていたのです。


「え?どうして」
彼女はパニックになりましたが、今日は銀行は休みです。
ですから、彼女はわざわざATM を使って送金したのです。銀行に問い合わせることはできません。

以前、私も新聞で読んだことがあります。
タイでは、ATMのプログラムにバグが多く、特に、異なる銀行間で、ATMカードを使って預金を引き出すと、実際に引き出した金額より一桁多い金額が減ってしまった。ということが、多々あると聞いておりました。タイの法律はざる法ですので、(日本も似たようなところがあるみたいですが)法律上は、プログラムミスによって預金が間違えて引き落とされても銀行には保証する義務が無いそうです。ですから、当の被害者が訴えても、一銭も(タイでは1サターンもですか)戻ってこなかったそうです。
この話しを信じている私は、ATMカードは持っていますが、基本的には使いません。どうしても使わなければならない時には、同じ銀行の支店のATMから引き出すことにしています。ですから、この話しを聞いた時に、

やっぱりこの噂は本当だったんだ。


と思わず一人で納得してしまいました。
この時は、落ち込んでいる彼女に追い打ちを掛けることはできませんので、この話しは伏せて、そのまま話しを聞いておりましたが、心の中では、疑問が渦巻いておりました。

(これって、やはり、プログラムのバグだよね。)
(しかも、基本的なミスで、普通だったら、途中でエラーになってしまうよね。)
(こんな大きなバグが見つからずに平気で同じATMがタイ全国で使用されているんだよね。)
(こんなことが、他の国で起こりえるのだろうか。)
(やっぱりタイって、すごいよね。。。。。)

「後日談」

さて、週が明けて、月曜日です。
彼女に、その後を聞いてみました。
銀行にATMのスリップと預金通帳を持って、出向いたところ、最初はなかなかまともに取り合って貰えませんでしたが、職場の事務局から話しをして貰ったところ、銀行側がミスを認めて、お金は戻ってきたそうです。

「めでたし、めでたし。」

でも、このバグは修正されたのでしょか。
それよりも、この苦情を処理した人が、これはATMのプログラムのバグだと理解することができたのでしょうか。


この答えは、私も今も分かりません。



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